キース・エマーソンファン待望の新作が日本で発売された。
昨今これほどHAMMOND Organに溢れた作品があったであろうか。
パイプオルガン、ピアノ、ハモンド、そしてモーグが織り成すサウンドはまさに唯一無二のエマーソンサウンド。
商業音楽など何処吹く風かと言わんばかりに大作志向な構成は、芸術的且つ実験的な精神に溢れたロック黄金時代を現代に蘇らせたかのような躍動感に満たされている。
各楽曲にはこれぞエマーソン節とも言えるフレーズが散りばめられ、クラシックからの引用も多数有り大変楽しめる内容である。
特にオープニングから15曲目までは「The House of Ocean Born Mary」と題された1つの組曲となっている。
この組曲中「Marche Train」という曲ではジュピターの引用に始まり、ハモンドを盛大にフィーチャーしたソロへ、最後には壮大なシンセブラスによる独特のボイシング。なんという美しさだろうか、自分は目頭が熱くなってしまった。
「Prelude To Hope」での美しくも物悲しいピアノソロは、この組曲に静と動の対比をもたらし、より味わい深く昇華させている。
また、アルバム後半「Malambo (From “Estancia Suite”)」の中盤ではTarkusを彷彿とさせる左手のオスティナートに始まり、緊張感あるスリリングな展開はファンなら卒倒する事請け合いである。
右手の手術をしてから5年、想像も付かない苦労があった事だろう。
制限された右手の運指でありながら、素晴らしい演奏を聴かせてくれる今作。
完全復活と言っても差し支えないのでは無いだろうか。
エマーソンサウンド、ELPを愛する人は是非この時代を超越した普遍的なサウンドに酔いしれて欲しい。
今年10月に行われる日本公演でその勇士を見ようではありませんか!
Keith Emerson is My Life !
To The Show That Never End !
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