The Modular System arrived in November, last year.
去年11月、モジュラーシンセが我が家に来ました。
ボカロでモジュラーシンセを使った曲を作ってから記事にしよう、そう思っていましたが、時間が取れそうもないので先に記事にしてしまいます。
曲の方はいつかきっと…
来たのはこのモジュラーシンセです。ELP、Keith Emersonファンなら誰もが憧れる(?)モジュラーシンセの壁!
野獣の雄叫びの様なサウンドと、観客を見下ろす存在感。
そんなキース・エマーソンファン憧れのモジュラーシンセがついに我が家へ。
YMOファンの方は松武秀樹さんが名づけた「タンス」という愛称で呼びますが、プログレッシブロックの世界だと愛称って無いんですよね。壁とか野獣、世界で最も危険なシンセ?
以下はInstagramに投稿した動画なので音付です。はしゃいでるだけですが。
My Instagram Videos
お気付きになったことでしょう。そう、オリジナルのMOOG Modularではありません。
Synthesizers.com製のモジュラーシンセです。
Synthesizers.com
http://www.synthesizers.com/
MOOG IIIC、MOOG System55辺りを所有してみたいのは山々ですが…無理です。
何故無理かと言うと…
1.高過ぎワロタ
Original MOOG is expensive.
まず第一に高額な取引価格、程度によりますがオリジナルのMOOGモジュラーの相場は250万~600万…そんなブルジョワジーなシンセ買えません。
2.実用性が無いと意味が無い
It is important that quality is practical.
そして第二に実用性。
コレクションだったり、宣材用トレードマークとして飾っておく! と、割り切れるなら良いのでしょうが、私の目的はボカロ楽曲でストレス無くバリバリ使うこと。
ハンダとスペアパーツ片手に経年劣化と戦い続ける技術なんてありませんし、技術が無い故に、数百万出して買ったモジュラーシンセがバカデカイ鉄クズに…なんて事になったら危機です。Close to the edgeです。
モーグ公式フォーラムでも苦労話が絶えないオリジナルのモジュラー
実際、モーグ公式フォーラムの投稿を見ると、
「MOOGモジュラーを安定させる為に修理を続けている。もうこんな生活は嫌だ。」といった話がチラホラ。
これは怖い。
MOOGモジュラーユーザーに評価が高い!
The evaluation from the user of the Moog music forum is high!
さらにモーグ公式フォーラムを見てみると色々興味深い書き込みがありました。
「MOOGモジュラーのメンテナンスに嫌気がさしたから、Synthesizers.comのモジュラーにしたのさ。満足しているよ。」とか、
「私はMOOG System55を所有しているがSynthesizers.comのモジュラーはオリジナルと遜色無いサウンドだ。さらに安定している。」とか、
「Synthesizers.comのQ119 24-Stage Sequencerは素晴らしい。1か月前に設定したシーケンスが今も狂っていないんだよ。」等々、
モーグ公式フォーラムでありながら評価が高い!
モーグ公式フォーラム
http://forum.moogmusic.com/
公式フォーラムで他社のシンセの話題とか大丈夫なのだろうか?と思いましたが、MOOG公式動画にSynthesizers.comモジュラーが出演しているくらいなので、寛容なんでしょう。
これとか。
しかも、Dream Theaterのジョーダン・ルーデスがOctavarium World Tourで使ったモジュラーシンセはこのSynthesizers.com製モジュラーシンセでした。
ソース Artist: Jordan Rudess
http://www.synthesizers.com/artists/jordan_rudess/
https://www.youtube.com/watch?v=PUpYBAsS5Q0
こんなにも実用的でビンテージスタイルなモジュラーシンセが新品で手に入るとは!
しかもオリジナルに比べると遥かにリーズナブル。
Must buy!
買うっきゃネーですよ!
という事で注文の約1.5週間後、
メールに加え、FaceBookのFriends of Synthesizers.comグループでアナウンスが!
写真:私が注文したモジュラーの出荷前の様子。(Facebookより)
写真:日本へ向けて旅立つ様子。(公式サイトのウェブカメラより)
このモジュラーの名称ですが、正式にはStudio-66 Analog Modular Systemと言います。
Synthesizers.com Studio-66 Analog Modular System
http://www.synthesizers.com/studio66.html
Synthesizers.comとは、Arrick Roboticsという会社を経営されているRoger Arrickさんが起こした会社、というかブランドみたいな感じですね。
(見積もりと請求書はArrick Roboticsになりますし)
海外ユーザはこのモジュラーシンセのことを”Arrick Modular”と呼んだり、YouTubeでは”DOTCOM Modular”なんて書かれたりすることもあります。
ユーザーからの評価が高い理由の一つとも言える、アーリックさんの経営方針も一部紹介しておきましょう。
◆誰もが購入できる価格とする為に
・宣伝広告費を掛けない。
・販売とサポートはインターネットのみ
・ディーラーに卸さず直接取引のみに限定し中間マージンをカット。
◆ガレージメーカーでは無い
・常に在庫を保つ
・長期間に渡り製品を供給し続けられる体制
・新製品は販売・出荷可能になるまで発表しない。
・品質を保つ為に産業ロボットの導入(本職ですものね)
今年、Synthesizers.comは操業14年目を迎えています。
About Synthesizers.com
http://www.synthesizers.com/about.html
話を戻しましょう。
私が導入したのはStudio-66ですが、正確にはこれをベースとして、Q150 Transistor Ladder Filter(※1)を1ユニット追加、7つのQ106 Oscillatorユニット全てにQ106CRS(※2)を追加したカスタムシステムとなっています。
※1 Q150 Transistor Ladder Filterモーグ博士のラダーフィルター特許を正式利用し制作されている-24dB/-12dB切り替え可能なフィルターモジュール。
http://www.synthesizers.com/q150.html
※2 Q106CRSオクターブレンジ切り替え時のピッチ誤差を1%から-1%の範囲に留めてくれる安定化オプション。
http://www.synthesizers.com/q106crs.html
Studio-66というのは基本セットの名前ですので、実際にはモジュール構成を自由にカスタマイズが可能です。
空輸時の送料がかさばるケースは自作で済まし、電源ユニットと任意のモジュールだけバラで購入するなんてことも出来ますよ。
しかし通関でトラブル発生!
Customs clearance of Japan stopped it.
They were not able to understand that it was a musical instrument. lol
こちらをご覧ください。下から上にトラッキングが続いてますが…
なんと伝統的お約束が発生!
通関で止められましたw
理由は、
通関「これ、楽器と違いますでしょ?なんですこれ?
はいきた。これあれだ、冨田勲さんが日本にMoog Modular輸入した時に起きた「羽田通関事件」のプチバージョンだ!
羽田通関事件について詳しくは下記を参照ください。
RA: Isao Tomita: Moogへの夢想 – Resident Advisor
http://jp.residentadvisor.net/feature.aspx?1659
当時と違い、通関処理はDHLが代行してくれますので、楽器であることを何とか説明し、4日間止められただけで事なきを得ました。
何でしょうね、これも含めて付加価値的サービスでしょうか。
楽しい経験をさせて頂きました。
この後も軽微な問題がありましたが、たとえば、
玄関に荷物が入りきらなかったり
2階に持ち上げることが困難を極めたり
落ち込んだりもしたけれど、私は元気です。
さあ、これを使ってボカロ曲作っていきますよ。
オケに入ったらモジュラーかどうかなんて分からないんですけど、良いんです。
ただの自己満足!無駄に素材にこだわりたい!
ボカロ曲でモジュラーシンセをガンガン使う変態になりたいんです!
一応、最後に補足
国内のディーラーから新品で買える、実用的なモジュラーシンセとしては、Doepferなどのユーロラック規格に準じたモジュラーシンセが多数あります。
初期の伝説的モジュラーシンセや、今回紹介したSynthesizers.comのモジュラーはモジュールの高さが5Uとなりますが、ユーロラック(通称)とはDoepfer社から始まった規格で、モジュールの高さが3Uとなっています。
モジュラーシンセとしての機能はそのまま、小さくて持ち運びに便利。
だから送料だってリーズナブル!
ユーロラック規格のモジュラーシンセは、過去の手法・サウンドに拘らず、モジュラーならではの自由な発想で新しい音・音楽を奏でる方々が使っているモジュラーシンセです。
最近はデジタルオシレーターのモジュールまで出ているそうですよ。
なるほど、こういうメーカーがあるんですね。
道理で音楽雑誌や楽器店のカタログで見かけない訳です。
こういう人達がいるから次世代に残すべき「音」が今に伝わっているんですね。
勉強になりました!